が届く。副題は「The Improbable History of DEATH METAL & GRINDCORE」。デスメタルとグラインドコアの奇妙な歴史、といった意の副題。「パンクはろくでもない屍人の群れだ〔Punk is a Rotting Corpse〕」とかいう、超ノーフューチャーなトピックで幕を上げるステキ本。件のタイトルで苛立つヤツはファッションパンクだ。
写真沢山で、しっかりている(と思う)論考――だって、帰宅したら届いていた上に、洋書は読書スピードが猛烈に遅いため――が散りばめられた本。ああ、本当に毎度書いているのだが、つくづく思う。何で日本の音楽ジャーナリズムは英米のそれに比べて何と拙いのだろうかと! 日本は米国に次ぐ、世界第二位の音楽市場を持っている。ただし、国内音楽の0.5%のみが輸出に回され、99.5%は国内で消費される超輸入市場であるが。
※データは日本レコード協会の資料や、『J-popとは何か』に基づくもの。
世界二位の市場を持つのだから、当然の如く、へヴィ・メタルに対しても世界有数の市場を抱える大国となりうる。市場が大きいだけでなく、つまはじき者というか、根底に嫉みにも似た反大衆精神を抱える日本のメタルファンの耳は、流行に敏感な米国のそれ――マスレベルの話だが――に比べて肥えているということは事実である。しかし、ジャーナリズムのレベル、それは論壇であり、アカデミックなレベルであり、細分化されたファンカルチャーレベルで比べるならば、拙い領域を出ることは、まだ数年。下手をすれば数十年はありえないだろうなとか、今日届いた件の本を流し読みしてみても、痛烈に思わされる。
単純に言語の問題ってのもあるんだろうけどね。英語を使って、世界に主張や意見を発信しなくても、自国内の市場向けて商品を循環させるだけで十分な利益を得られる市場のみに満足感を感じ、海外進出という野望を。時としてリスクとなりうる野望や冒険心を、ファンもジャーナリズムの側も、自分の見ている範囲では積極的に持とうとしない点も問題といえば問題だ。市場的にメタル大国(と、マネジメントやB!誌やバンドのインタビュー)で言われたからと有頂天になり、その点にあぐらを書いていては、日本の音楽ジャーナリズムはメタルに限らず、ドメスティックに陥らない発展を望むことは難しいだろう。とか杞憂してみる。飲んだくれが。
少しでもパンクが好きとか思うのなら。本当にパンクが好きでNA○Aとかファッションパンクが嫌いで、シド・ヴィシャスよりもヴィヴィアンよりもマルコムが好きで、ピストルズりもクラッシュとかが好きとかいうなら、ディック・へヴディッジの『サブカルチャー スタイルの意味するもの』を読め。いいから読め。2000円以上の活字本なんか買う気がしないとかいうやつは、ヲレが線を引きまくって、書き込みをしまくったヤツを貸してやるから良いから読め。と小一時間問い詰めたい。
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2006/08/02(水) 01:11:53 |
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