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続・JUNK屋日誌

blogへのテラ・フォーミング(2005/12/17)。遂に時代の流れには逆らえづ、本サイトの日記のみをblogへ移行。

それがblogクオリティ

 ブログになれば文章の質が落ちるか否かという点について。極論を振りかざせば、ブログだろうが、テキストサイトだろうが、mixiだろうが、文章の質には大した関係性はないだろう。オーディエンスに対する意識や、コミュニケーションの姿勢という点は各々で多くの差異はあるだろうが。

 書き手の側が、文章の質――ただ、「質」という曖昧な定義がどのようなものを指すのかは一言では言いがたい――に対してどのような距離を取るのかが問題である。もっとも、オーディエンスの存在や、オーディエンスとの距離感によって質が変化するということは考えられる。
 
 以前、攻殻機動隊SRCを監督した神山監督の対談に立ち会ったことがある。監督は対談の中で、創作活動全般に関わることによって発生する快楽物質は自己に酔うことだけでなく、オーディエンスがいることによっても発生しやすいと述べていた。監督の例では、仕事場に同僚や後輩がいる方が仕事に力が入るという体験談が添えられた。その点は自分も同様で、家にいる時は全く本を読む気がおきなく、外、特に電車内や喫茶店などでは本を読む気が起き易い。家で本を読む習慣がないという生活様式もあるが。監督の対談相手――上野俊哉氏――がネットについて興味深いことを指摘していた。

 対談内容は録音しておらず、内容のメモ書きと記憶を頼りにした復元であるが、、氏は、ネット(主としてブログ)における文章活動は、さしたるクオリティを獲得できない状態・レベルにあろうとも、ギャラリーや名声を獲得できたと錯覚し易い。そして、その錯覚が連鎖的に、書き手の高揚感を刺激する、どこかしらカラオケに近いものがネットであるという指摘を行っていた。
 
 テキストサイトとブログは、どちらの方がオーディエンスとの距離感が近いだろうか? これは一概に言えず、侍魂ブームが黎明期の頃にテキストサイト界隈に参与していた身としては、「テキストサイトシーン」なる想像の共同体に参与していた(いると思い込んでいた)頃の方が、オーディエンス――テキストサイトの観客たち――との距離感は近かったと思うし、サイト運営者同士の距離もテキストサイトシーンというバックボーンがあるためか、ブログよりもテキストサイト時代の方が他者との距離が近いように思えた。
 
 テキストサイト界隈が箱庭だとしたら、ブログは都市だ。猥雑で、色んな思想、高級な思想も、何も考えないで消費できるファーストフードのような思想も。文としての内容のある・ないを軸に据えた質の高低、その他、色んなものが混沌としている。サイバーパンクでお馴染みの、アジアとも欧米のスラムともつかない、あの混希的な世界。その代わり、人々は皆総じて孤立気味にある。そういうイメージがブログにはある。

 ともあれ、ブログは距離が遠いというのは主観的なものなので、ブログの方が距離が近いという人もいるだろう。ならば。距離の近いオーディエンスを意識する余り、快楽物質のたっぷりつまった質の高い文章が生まれるのではないか? 冒頭にも述べた通り、文章を書く側が初めから完成した文章を書くという意識で文章を書けば、それをアップロードする媒体は関係はない。ハードではない。ソフトが問題だ。ハイヒールという矯正器具によって、男が望むように鍛え上げられた膣が問題なのではない。手淫のし過ぎによって膣不感症になった、哀れな陰茎が問題なのだ。
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  1. 2006/07/26(水) 18:43:19|
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JUNK

Author:JUNK
 いわゆるトコ、侍魂以降のテキスト系サイトとして惰性してから早4年(2005年当時)。日記部のみblogに移行しました。それまでの素性とか、堆積物は「サイト」の方を参照で。現在の方は「mixi」とか。

 飲んだ暮れ。夢想家。澁澤シンパとみせかけて種村派。専攻は一応、文化社会学とか言いたいんだけど、実際の専門的らしい専門はない(と思う)。

『家畜人ヤプー』、沼正三、女性のサディズムと父権制におけるマゾヒズム、少女のエロティシズム、アリスイメージの消費、ロリヰタファッション、ヘヴィメタル、サタニズム、オカルト、タロット、少女小説、テクスト論、表層的SM批判、ジェンダー論、クィアスタディーズ、なんかよくわかんないけど色々。

 文化批評系よろず同人誌「Kultur Trieb」主宰。執筆者、購読者募集中。HPとかはまだ作ってないので、詳しくはmixi内のコミュを参照。

「Kluture Trieb」(mixiコミュ)


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