http://www.metal-movie.com/index.html
ああ、まだ見に行けてない(´・ω・)。行けるか否かは11日に御上よりの支援金が支給されるか否かによる。こんなにも熱く、素晴らしい映画が日本で公開されることは非常によろこばしい。しかしながらひっそりした公開規模や、「何故メタルは嫌われるのか?」という映画のテーマに対する国内の言説等については素直に喜べないというか、まだ不十分かとも感じてきている。しかもこの映画、北米ではとっくにDVD化になっているらしいじゃあないですか。
聴衆と階層の関係。技術発展(特にMTVとの関わり)。グローバル文化としてのメタル。政治権力と若者文化の闘争としてのメタル。自殺とメタルマガジンの講読数との関係性の統計等々。メタルについての体系的な記述やアカデミズムレベルでの研究――カルチュラルスタディーズ,文化社会学,社会心理学,ポピュラー音楽研究,音楽学などの分野――は、『ヘッドバンガーズジャーニー』よりずっと昔からごまんとあるというのに、同作が先駆的であると考えるのはいささか尚早である。
日本は市場的にはメタル大国と言われる割に、批評性や実証性のある記述や論考が育たない(非トレンディな、アングラレベルのファンジンなどには素晴らしいものが沢山ある)理由は複雑である。事実上『B!』誌の独裁体制であるジャーナリズムや、B!誌が率先して紹介すべき海外の素晴らしき書籍群に対するアプローチの欠如。その他、ポピュラー音楽研究に関するインテリゲンチアの側においても、メタルに対して<真面目に取組む>ような、良識と知識と愛情と、そして情熱のあるメタルヘッド風情のインテリゲンチアがいなかった等々の点がある。で、アンダー・ザ・フラッグ(Grave Digger)だ諸君。何かアウトプットを出す機会ができ始めたらどっかで告知していくよ。
とりあえず、話を『ヘッドバンガーズ~』に戻すが、バンドやアーティストよりも「Wallser,Robert」とか「Weinstain, Deena」とか、メタルonアカデミアの連中――もちろん劇中には出てくるんだろうけど――について話題になっていないあたりは少々淋しくもあるし、それらの先人たちの著作が真撃に紹介されているかといえば、B!について述べたように不十分であるし、今のところ、日本のアカデミア側からも積極的な紹介や導入は望めない状況にある。素晴らしい先行研究や著作の翻訳も、今のところは望めそうにない。こけからはどうなるか解らないが、今のところの話。だから嫌々ながら修論のために翻訳しているんじゃないか。しかも、とてもじゃないけど外に出せるレベルではない翻訳(´;ω;`)ウッ。
10年後位先に無事にポストがもらえて、潤沢な語学力が身についてきたらフィールドにしたい、ドイツ及び北欧諸国を。とはいえノルウェイジャンブラックメタル勢の痛切な叫び――ノルウェイの抱えるアイデンティティ問題(ノルウェイの今だけではなく歴史的な視点も視野にいれなければ)についての着目も、日本では余りお目にかかった記憶がない。海外のメタル本では嫉妬を禁じえない程に充実した記述があるというのに!!
加えて、毎度毎度グチをこぼしているようだがアイドル気取りの「ギャルメタラー」やら、昨今のキモチ悪い「エアギター」熱は、本質性や姿勢を酷く欠いた見世物(スペクタクル)と感じて違和や嫌悪を示してしまう。ようやっと、「元気が出るテレビ」のヘビメタシリーズを冷静に見られるようになってきたというのに(´・ω・`)。こんなことばっか言ってるから「メタルにコミットメントする女は男に認められる・許されなければ、その位置を確保することができない」とか、白い肌でイギリス語を話したり書いたりしちゃう異人さんによって書かれちゃうんだわ! 実際、その指摘は国内外を問わず鋭い指摘となりうるが。
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- 2006/07/08(土) 22:08:26|
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