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続・JUNK屋日誌

blogへのテラ・フォーミング(2005/12/17)。遂に時代の流れには逆らえづ、本サイトの日記のみをblogへ移行。

mixi(株)と広告の分析

 周知の通り2006年2月、mixiを運営していた「(株)イー・マーキュリー」社が「株式会社mixi」に社名を変更した。丁度その頃からだろうが、バナー広告ではなく、mixiのログインページに堂々とした広告が掲載されるようになった。私事を申せば、自宅環境ではfirefoxにmixiツールバーを搭載してあるので、ログインボタンのクリックと広告の視認という二重の意味で煩わしいログインページを目にしなくて済む。しかし、研究室のパソコンでmixiを使う際には煩わしいログインページを通過しなければならない。このblogを書いている現在も研究室からなので、あの煩わしい広告を目にしてきた。付け加えると、mixiのオープン(2004年3月3日)以前から、イー・マーキュリー社は広告の掲載のPRを行っている。

 mixi社の公称では300万人を超えるユーザーを抱えるmixiであるため、mixi内に広告を打つことによる効果は一見すると多いように見える。しかし、正確なデータは無いのだが、ユーザー、特にヘヴィ・ユーザーの多くは携帯からのアクセスが多いのではないかと考える。私自身も、更新は殆ど携帯からであるし、閲覧・巡回も殆どが携帯からである。広告はPCからのログインページのトップにくるので、携帯からmixiにアクセスする際には、冒頭で苦言を呈してきた煩わしい広告を目にしないで済む。これはハッキリ言って快適である。

 mixiユーザーがここまで拡大した理由の一つに、携帯電話からの容易なアクセスが可能であるという点を否定する者はいないだろう。だからこそ、数値の大小のもを単純に見て、「素晴らしい広告効果が期待できる!」と考えるのは愚鈍であり、尚早でもある。しかし、広告を打つ会社が<どのような対象や購買層>を想定しているのか? という点を考えてみると、様々な論考が起こりえる。まず、テクストとして、今現在mixiのログインページに表示されている広告を分析してみよう。今現在表示されている広告は「丸井のバーゲンセールに関する告知広告」である。

 内容は、どこかアンニュイな雰囲気をした女性を前面に配したシンプルであり、バーゲン名は「Brand Fair Fly Me To The Resort」である。なるほど、特に「初夏のおすすめ最旬アイテムをご紹介」と題されているように夏のリゾートを意識した広告であることを理解するのは容易い。モデルの女性も半袖で、明るい色使い―夏を過剰に主張するイメージではないが―のワンピースであり、初夏の涼しげイメージを思わせる。そしてお定まりとも言うべき「ブランドフェア」という<売り>である。

 今回は、ブランドの云々―大衆に広く知れ渡った高級ブランドや、大衆的な高級ブランドを前に見据えた際に、その真正性やブランド自身のアイデンティティ・ブランドを身につけ<装い>を行う物のアイデンティティに与える差異性は問題にしない。しかし、「ブランド」という言葉を前面に打ち出す広告というクリシェには、一先ず注目して良いだろう。

 モデルの女性自体は、とりたてて男の性的欲望を喚起するような女性性を持っておらず、アンニュイな雰囲気と相まってか―男性である私の視点から見る限りではユニセックスな風貌すら漂わせる。それらの点からも、バーゲン自体が丸井の店舗的性格を抜きにしたとしても主用なターゲットを女性に向けていることが想像できる。


 「もともと女性にも安心して使ってもらえることを意識して作ったサイトということもあり、比較的女性の割合は高かったのですが、現在では男性対女性が6:4。直近では半々に近い数字になってきましたので、通常の社会と変わらなくなってきたと思います」(mixiの達人クラブ,2005,『mixiでこんなことまでできた!』,204頁。イーマーキュリー代表 笠原氏のインタビューより)。


 という発言にもあるように、女性に対してのマーケティングを行う際に、mixiが持つヘゲモニー(優位性や支配力等)は非常に高いと言える。勿論、女性が消費を牽引するといったクリシェを踏まえて上でmixiに女性をターゲットとした広告を打つことが成り立つ。だが、80年代後半からクリシェとして信じられ続けてきた―トレンディドラマ、いわゆる「月9」の人気がそれを裏付けてきた―女性による消費の牽引は、今尚クリシェとして通用しうるのか? という懐疑が私の中にある。しかし、その懐疑をあざ笑うかのように増え続ける「電車の女性専用車両」や、北海道でセンセーションを醸し出している「(宣伝文句として、その点を強調する)女性専用パスタ屋」など、女性を主要な顧客ないしは、ターゲットとして認識する傾向はまだまだ根強い。

 「視覚的人脈の手帖」においても書いたが、女性ユーザーの増加により、様々な「あざとい」現象がmixi内で顕在的になり、mixiに対する「知り合い系」という建前染みた言説も、確実に崩れつつある。そのような背景の中で株式会社となったmixiが、この先、どのような転回/展開を見せるのかという点は、非常に興味深い。
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  1. 2006/04/24(月) 19:17:29|
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  1. 2006/04/28(金) 18:27:17 |
  2. 食べのこし裏日記

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JUNK

Author:JUNK
 いわゆるトコ、侍魂以降のテキスト系サイトとして惰性してから早4年(2005年当時)。日記部のみblogに移行しました。それまでの素性とか、堆積物は「サイト」の方を参照で。現在の方は「mixi」とか。

 飲んだ暮れ。夢想家。澁澤シンパとみせかけて種村派。専攻は一応、文化社会学とか言いたいんだけど、実際の専門的らしい専門はない(と思う)。

『家畜人ヤプー』、沼正三、女性のサディズムと父権制におけるマゾヒズム、少女のエロティシズム、アリスイメージの消費、ロリヰタファッション、ヘヴィメタル、サタニズム、オカルト、タロット、少女小説、テクスト論、表層的SM批判、ジェンダー論、クィアスタディーズ、なんかよくわかんないけど色々。

 文化批評系よろず同人誌「Kultur Trieb」主宰。執筆者、購読者募集中。HPとかはまだ作ってないので、詳しくはmixi内のコミュを参照。

「Kluture Trieb」(mixiコミュ)


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割と、お仕事関連とか、読んだ本とか、クダラナイ話とかもつぶやき中。

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