団鬼六の『外道の群れ【責め絵師】伊藤春雨列伝』がヤバイ。妊婦吊しで、髪フェチの伊藤を筆頭に、『デカメロン』他、エロ・グロ・ナンセンスしまくって御上にしょっぴかれまくった、梅原北明、ついでに伊藤の最後の弟子にして、女の筆名で「奇クラ」で責め絵を描いてきた美濃村晃、ついでに好色社会主義者、大杉栄や、少女の友にして意外とアレな竹久夢二とかが出てきて、まさに大正、好色、外道の宴!
北原童夢や秋田昌美の著作を濫読するっつう、ハイソな趣味を持った紳士・淑女の皆様には、毎度お馴染みなオールスターの大行進。大正エロ・グロ・ナンセンスの陰の立て役者たちの饗宴(シンポシオン)ってな調子でしてね、ウヘヘ・・・・・・夕方にいその・えいたろう『AV監督』を一気に読破したっつうのに、夜に酒飲みながら7割近く一気読みしてしまった。
んでまぁ、『外道の群れ』は、関東大震災以前までの伊藤春雨と、その周辺の群像劇を主題にし、伊藤のエッセイ、美濃村の証言、歴史資料等を元に再構成された物語形式の体裁をとっているんだが、これが中々、大正時代の雰囲気や文化的な情景をたっぷり描いていて、谷崎、乱歩、夢野辺りのファンには是非勧めたい。団センセイだからといって、拉致監禁とか浣腸はないから、おとうさん・おかあさんにも安心だゾ☆。
それにしても、JUNKさん、文化的気質は大正ロマンと1980年代的なキッチュかつキャンプな精神で、人格的には1960年代のイカレる若者たちを引きずっている(本人は1980年代産まれなのに)とよくいわれるのだが、『外道の群れ』での大正時代の文化的情景の描写にゾクゾクとキすぎて参った。
なんせ、お昼の「午砲(ドン)」が鳴り響き、学生はマント姿、飲み屋には阿呆陀羅経を唱える遊芸人が訪れ、チャカポコとなる木魚の代わりに、「カチャカチャ」となる竹の拍子木を鳴らして、道化経文を唱え始めれば、中年の流しがやってきて、ヴァイオリンを弾きながら「カチューシャ」を歌い始める。
帝劇ではトルストイの「復活」が上演されて、帝都の街には松井須磨子の『カチューシャの唄』氾濫し、新聞記者は舞台の、いわばレヴュ中の松井須磨子の「プロマイド」を小脇に抱え・・・・・・「サクラ大戦」すぎるな・・・・・・。
それはそうと、一部の好色者たちによる外道の群れは、「好色研究会」(「変態研究会」や「責めの研究会」なる名前の候補があった)なんて、秘密倶楽部を組織し、メンバァのひとりである精神分析学者サンは「私も伊藤先生の如くかかる責めの妄想については長年研究したものでありますが、伊藤先生の倒錯せる性情というものは、相手を虐待し、それにて快感を得るという種のものであり、これはフランスの作家マルキ・ド・サドの名前からクラフト・エービングが命名したものであります。」(125頁)なんて、フツーに出てくるから、性科学に傾倒していたり、北原・秋田辺りの本に慣れしたんでいる身にはたまらなさすぎる。
とりあえず、もう少し涼しくなって、色々と書き物が落ち着いたら、去年くらいからいってる気もするが、緊縛術をしっかり学ばなければと思うの、私。やっぱり、21世紀なんだから、これからのジェントルマンはタロットだけでなく、緊縛術にも精通し、東西を問わない幅広い文化と、ヴィクトリア朝時代の児童文学に精通しているべきだと思うの・・・・・・私。
とりあえず、「カチューシャ」。帰宅してひたすら「カチューシャ」関連の動画を見ているうちに、くにおくんのドッジボール部にぶちあたったよ。ああ、俺がカチューシャ(を筆頭にした、ロシア民謡、「トロイカ」、「黒い瞳」、「悲しい天使」、「ボルガの舟歌」、「ともしび」)が好きなのは、きっと、こいつのせいなんだろうなと思った。
もるどふ(笑)
【作業用BGM】くにおくんドッジボール部対ソ連戦BGMがひたすら流れる動画
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- 2009/06/30(火) 03:40:00|
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