またしてもオウム(=麻原彰光)の子供が、学校側から入学を拒否され、世間では2004年のアーチャリーの大学入学拒否問題の時と似たようなセンセーションが巻き起こっている。弱者―この場合は拒否をされた側で―に対しては、常々、神聖で不可侵的な言説や文脈が施される。それまでは、批判の対象であったりした者が、弱者に転落した際にもそれは起りうる。しかしながら、そのような感情変化はヴェネディクトが『菊と刀』で指摘した「人情」とは少し異なる。言い換えれば、「人権」や「機会平等」といった、都合の良い言葉が御旗として振りかざされた時、ヴェネディクトの指摘した「人情」は、後に述べる「映し鏡」―鄭暎惠の『<民が代>斉唱』の中で指摘された言説であると記憶している―に刷り替わってしまう。
というわけで、長い前置きと閑話は休題にするとして、今現在、私が収監中されている「施設」にも新入生が。大学院・学部に新入生の一団が入ってきた。前置きで述べたように、世間の方は、またしても麻原の子供を巡る入学問題で揉めている。ああ、そういえば私の収監されている「施設」においては今も尚、アーチャリーの入学拒否問題を巡る問題が尾を引いていたな。「入学拒否問題を考える」といった趣旨のシンポジウムの告知ビラは、まだまだ学内で見かけることが多い。
入学拒否事件についてを調べてみると、入学拒否問題が表立ったのは、2004年の3月中頃。その頃の私は丁度、収監されるべき進路を2つの大学院に絞り、いよいよ本格的に資料や願書を取り寄せて・・・と考えていた頃合に、アーチャリーの入学拒否問題がテレビで取り上げられ、現在の収監先が堂々と映るものだから、思わず噴飯・・・いや、噴酒してしまった。
入学拒否という学校側の英知ある(私の意見が属する立場からは、そのように評価している)対応について、人権云々と結びつけて入学拒否という学校側の対応を批判するのは、批判者自身―その批判者が当該の現場に通う学生や関わりを持つスタッフであるならば、また話は変わるのだが―がやはり外野・在野である印象が強い。人権の御旗の下に擁護を行い、当事者を映し鏡として用い、自分自身の正当性や正義感という虚栄を満足させるような他人事意識を如実に感じ取ってしまうのは、自分の性格における悪癖ではあるが・・・外野の擁護側に大して、先に述べたような「あざとさ」を感じている人々は少なくないと思う。
敢えてここでは
「非常に差別的な表現」を使うのだが、悪意はのようなものは無いと、予め断っておく。では何があるのか? と言えば、アーチャリー入学拒否問題の報道を目にした時無意識に思った感想である。「オウムの娘が来るなんて恐ろしい!」というのが、もし、報道を見た直後に思ったこと・仮に、アーチャリーの入学が裁判などを通して認められたとしたら、ということを考えた際の率直な感想であった。
14歳頃に地下鉄サリン事件の報道を目の当たりにし、坂本弁護士誘拐殺人事件についての連日の報道。村井氏の刺殺事件(95年4月23日) もほぼリアルタイム見た。さらには、中学校の昼休みに一大センセーションを巻き起こして、教室が安堵と熱狂に包まれた麻原の逮捕。その後に数多く製作されてきたオウム事件をテーマにしたドラマを視聴したことで、オウムが如何に恐ろしいかという点を散々毒された脳髄構造で、「はいそうですか」と、アーチャリーの入学を易々と受け入れられるはずが無い。大げさに言えば、そんな状況で、集中して勉強などができるはずかないと。
ただ、それを言ってしまうなら、アーチャリーの受け入れ先となった大学の学生たちは、どういった言葉を発信しているのか? という話になってきて非常にややこしい。とりあえず、その辺りについての論稿は、また気が向いたら頃にでも書こうかと思う。収監施設の方は、最近は鈴木杏の入学でセンセーションを巻き起こしているが、すっかり忘れていたよ。ポジティヴ・センセーションな入学話の方を。
昨日、前日に深酒をしていたわけではないが、非常にダルダルなテンションで黒珈琲と黄金蝙蝠煙草を手に持ちもプチ・ヘッドバンギングをしながら学校に向かっていた正午頃。キャンパス内では学部入学式が終わって、オリエンテーションが始まった頃のお話し。有名人の入学については、mixiの方で過去に何度か書いてきた。しかし、ダルダルな頭では、鈴木杏が入学するということなど、スッカリと忘れている始末。とりあえず、昨日も同輩とガツガツ飲んでました。
泥酔で買出しに行く二名が「フランクフルト学派に傾倒したせいで、常に社会文化を斜めに構えてみてしまうよ。ははは! アドルノ先生め! ベンヤミン先生もハハハ!」とか言う駄目具合。あとは三次会位で、キューブリックとファーストガンダム話が燃焼しすぎた疲労からか、風呂でうたた寝しかけた ('A`)。色々疲れていたんだな。
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- 2006/04/07(金) 21:27:24|
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