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続・JUNK屋日誌

blogへのテラ・フォーミング(2005/12/17)。遂に時代の流れには逆らえづ、本サイトの日記のみをblogへ移行。

ゴヤ版画展

 町田の国際版画美術館で執り行われている、ゴヤの版画展に行って来た。『我が子を食らうサトゥヌルス』を筆頭とした、黒い絵画展はまだかいの? とは言うものの、澁澤龍彦の著作の中で見た図版―男の顔を持った鳥が、女の顔を持った鳥に釣られて集まり、その下で女たちが男鳥の羽をむしりとり、肛門から串を突き刺す風刺画。貞操帯の風刺が画と同じくらい、私が好きな絵を見れただけでも収穫は大きかった。

 ゴヤの版画集『戦争の惨禍』の、何とも素晴らしきことよ。「私はみた」という、版画集の一作品に冠された名科白はまさに、現実に起った惨禍―宗教的イコノグラフを持たぬ黙示録を記したヨハネの如く! 

 19世紀初頭のスペイン独立戦争を描いた『戦争の惨禍』において、「女」は伝統的な役割―男を勇気付ける存在であり、略奪・強姦・支配の対象でありながら、「やはり野獣であった」という様な題を模した版画では、勇ましく―この言葉自体、極めて男らしさを彷彿とさせるが―武器わ持って、兵士を殺す。やはり、ありのままを冷淡に記録したという点で、ゴヤは一味違う。

 師の言葉を借りると、ゴヤの絵画は「冷たさが素晴らしくゾクゾクする」となる。「女」という存在を、伝統に依拠しない―いわば、男の側の幻想・理想に押し留めず、人間を殺す力を持つ存在であることを表現したその様に、ある種の冷たさがあるように思える。言わば、常識と思われていることを覆す表現を用いる―むしろ、その表現自体が「リアル」であるだからこそ、非常さがあるのではないか。
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  1. 2006/03/24(金) 23:00:34|
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JUNK

Author:JUNK
 いわゆるトコ、侍魂以降のテキスト系サイトとして惰性してから早4年(2005年当時)。日記部のみblogに移行しました。それまでの素性とか、堆積物は「サイト」の方を参照で。現在の方は「mixi」とか。

 飲んだ暮れ。夢想家。澁澤シンパとみせかけて種村派。専攻は一応、文化社会学とか言いたいんだけど、実際の専門的らしい専門はない(と思う)。

『家畜人ヤプー』、沼正三、女性のサディズムと父権制におけるマゾヒズム、少女のエロティシズム、アリスイメージの消費、ロリヰタファッション、ヘヴィメタル、サタニズム、オカルト、タロット、少女小説、テクスト論、表層的SM批判、ジェンダー論、クィアスタディーズ、なんかよくわかんないけど色々。

 文化批評系よろず同人誌「Kultur Trieb」主宰。執筆者、購読者募集中。HPとかはまだ作ってないので、詳しくはmixi内のコミュを参照。

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割と、お仕事関連とか、読んだ本とか、クダラナイ話とかもつぶやき中。

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