
結局、文化衝動〔Kulture Trieb〕には逆らえず、『狂い咲きサンダーロード』の収録された、石井監督のDVD-BOXを大人買いしてしまう。ソノホカ、澁澤龍彦やら坂口安悟やらの文庫を古本屋で購入――そのあとの足で、お久しぶりな方々と飲んできた。カマタ・サミットの人員が今後も拡大しそうです。
それはおいといて『狂い咲きサンダーロード』だな百姓! とりあえずだ俺の人となり、ないしは文化に対するテイスティング……いわゆるトコロ「映画秘宝」誌に美学を感じたり、大槻ケンヂのエッセイに対してモノスンゴイ愛着を感じてしまうような、ロフトプラスワン的なテイスティングを踏まえるところ、神映画すぎる。オトコノコの妄想や欲望、そして憧れに関わる80年代的な要素が全編に詰まっているし、音楽の使い方も逸筆すぎて思わず百姓! と叫ばずにはいられない。場所の名前に関わるトホホなネーミングセンスも最高。
あとは、アレだね。『帰ってきたウルトラマン』の「怪獣使いと少年」と同様、日本のアンブというか、周縁を執拗に描き出す辺りに似たようなテイストを感じた。カタワになった仁さんが病院を出るシーンで、わざわざと車椅子の身体障害者を背景に、執拗に映りこませる辺りに何かこう……現在の邦画(ついでに特撮)が失ってしまった、古きよき時代の熱い何か〔something hot〕があったような気がする。
良作には必ず一箇所くらいダレる箇所がある――とはよくいうものの、『狂い咲きサンダーロード』は全編が見所。全編がスペクタクルとしかいいようがなかった。それが解らん男は百姓だ! この作品には前述したように、漢たちの夢と妄想が詰まっている。カタワになりつつも、重火器と鉤爪とアーマーで武装した仁さんはまさに神! デウス・エクス・マキナ! 暴走族時代の暑苦しい熱血さと、武装神と化したシーンの冷血さとの対比にシビレル。
作品自体も、三島由紀夫×東京ロッカーズ×バイオレンス×ビーバップ・ハイスクールをゴチャ混ぜにした感じで激しくキャンプのような、それでいてぶっきらぼうなような…少なくとも、家畜的な消費者どもには滑稽な作品として映らないだろう――だがソコがいい! これはやはりアレですか? 誰かクリスマスでも年越しででも良いけど、石井監督のDVD-BOXに収録されている作品の鑑賞会でもしませんか? 狂い咲き的に。
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- 2006/12/19(火) 00:30:49|
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