メイドについての議論は幅広いのだか、日本のメイド史における言説は少ないようにも思える。むしろ、そういった視点を持つことがなく、メイドといえば兎に角ヨーロッパの史実ばかり追っていた自分を含めた大衆が、如何に自国に展開した歴史に無知であったかを思い知らされた。汝自身を知れということに、我々は気づいていなかったのだ。ソクラテスが劣等感を感じた、多くの哲学者たちであったのだ、我々は。
つまりだな、大学時代のしがらみから、メイド喫茶を題材とした卒論の推敲・添削・指導を引き受けたため、その卒論の草稿を手直ししている中で明治~昭和にかけての、日本におけるメイド像に関する記述があり、大きな感銘と興奮を受けている。ヱウレカ!
特に突飛すべきは、日本におけるメイド専門学校の存在だろう。第一号的な存在は、東京女給学院(明治19年)であり、当時のメイドさんは舶来文化を日本に伝えるという役割を担わされ、欧米人メイドさん講師の下でメイド労働だけではなく、欧米の歴史や語学も叩き込まれていたという。
明治25年頃になると、日本各地にメイド専門学校が乱立し、メイド学校と呼ぶことの出来ない学校も多々あった――つまり、現在のメイド喫茶飽和状態と同様の状況が、既に明治時代に存在していたのだ。また当時のメイド服は漆黒で、ブーツが主だったという記述もある。
メイド学校の乱立はメイド市場の成立をもたらし、前述の東京女給学校にはメイド求人標が殺到しながら、メイドは主人、主人はメイドをお互いに厳しく選び、お互いがお互いをドライに見捨てるという、ある意味では合理的な状況が存在していたともいわれている。
昭和初期に入ると、川端康成が『伊豆のメイド』を執筆。学園紛争が世間を圧巻する1960年代に入ると、佐世保の白鳥メイド学校において、世間の風潮を受けてか、東大の篭城事件を模倣した形で生徒(=メイド)たちによる篭城が発生。
白鳥メイド専門学校における篭城事件は、一年生(高校一年生に相当)の一部が近隣の県立高校の男子学生グループに触発されて決行したものであったが、白鳥メイド専門学校の生徒たちが県立高校の男子学生グループとともに校内に立てこもったため、「生徒以外の人間が校内にいる」と学校側が警察に突入を要請した。警察の突入によって、篭城事件は一日で解決したが、その全てが丸くおさまったわけではない。篭城事件の一ヶ月後には、事件のリーダー格の生徒による「ご主人様なんて要らない」と題する手記が朝日新聞全国版に掲載され、その翌々日には社説がメイドを論じ、全国の注目を集めた(68年10月8日号)。
社説は、なぜか丸山真男が引用され、家父長制が云々や、女性の社会進出が云々されていた。また、前述の白鳥メイド専門学校の校長は雑誌社にインタビューに対して、「まだメイドとして働いたことのない娘さんに、メイドの何がわかるというのでしょう。メイドを軽々しく云々されたくありません」と述べている。白鳥メイド学園の校長の言葉は、今現在、氾濫と拡大の一途を続けるメイド産業に痛烈な批判として機能しうるだろう……。
さて、随分と凄まじい歴史が日本にあったのだなと、関心して添削・推敲に、自分の課題をそっちのけて2時間位かかりきっていたら、日本メイド史に関する部分の最後に「大島伸啓日本メイド史より引用
http://maidken.hp.infoseek.co.jp/inushima/history.htm
とかねwwwwwwwww うは、引用文と気づかずに、ひたすら添削と推敲を加えていたのですか。まぁ、それはそれとして、当該ページを見てみたらね「※注意:念のため書いておきますが、朝日新聞と文芸春秋の記事は実在しません(^^;)」とかwww さらに、それだけでなく、川端の『伊豆のメイド』で色々とググってみたら以下のようなモンが。
78 :世界@名無史さん
>>72
そこもある意味電波サイトですぞ。というかネタサイト。 "東京女給学院"は実在しません。
79 :世界@名無史さん
あれを本当の記事だと信じている奴結構いるよな。民明書房並に罪作りなサイトだ
>※注意:念のため書いておきますが、朝日新聞と文芸春秋の記事は実在しません(^^;)。
としっかり書いてあるのにw
80 :71=72 :03/11/03 14:28 ID:
>>78-79
私も初めて読んだ時は、途中まで本当だと信じていました。校長が満州国の首都・新京で新興財閥のオーナーの家で働いていた元メイド、という設定とか、本当によく出来ています。
ちょwwwwwww激しく偽史wwwwwww「199X年」的な北斗の拳世界とか、「あの決定的な敗戦からXX年」といった「犬狼伝説」的押井守的な偽史世界ですか……本気で真実かと思いこんで、熱心に推敲や添削をしまくった俺の労力が報われないス(´;ω;)。
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- 2006/12/01(金) 02:09:52|
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